3人の若者が銀行強盗に入るところから始まる青春コメディ。渡辺謙は銀行に居合わせる男性として出演しています。


なんというか…非常に残念な作品。
AMAZONの商品説明に“徹底的に虚構の世界を作りあげる手法が登場人物のリアリティを支えている。”とあるけれど、それは脚本にリアリティがあってこそ活きるもの。架空のアニメ“スペーストラベラーズ”は魅力的でおもしろそうだけど、この脚本では映画を観終わってから、別に発売されているアニメ版『スペーストラベラーズ』まで観る気にならないでしょう。
俳優陣もいい演技をしているし、要所要所の演出も素晴らしい。その上細部までこだわりが行き届いているのに、肝心の脚本が薄っぺらくてはせっかくの素材も彩を欠いてしまう。

公開当初のキャッチコピーが「楽しい!笑える!泣ける!」と言うことですが、前半二つは良いとして三つ目の泣きの要素は、気持ち悪い馴れ合いの連発でこちらのテンションが下がるだけ。どう見てもP・ハーストです本当にありがとうございました。

物語の中盤、赤いスーツの女性が離婚する予定の夫に対して「何よ!みんな盛り上がってるのに!(=空気を読みなさいよ〜)」と言うけれど、この前後の相田みどり(深津絵里)のストーリーを良く見てほしい。空気を読んだ結果がこれだよ!
作中でこれほど矛盾が生じていては、ラストの伊坂幸太郎を彷彿とさせるメッセージも、伊坂作品ほどのインパクトにどうしたって成り得ない。物語をきれいっぽく纏めるために取って付けたお飾り状態。同じメッセージでいくらでも良作が作れるだろうに、もったいない。


映画を観ていてどうも『踊る大捜査線』っぽいなと感じたのですが、なるほど同じ監督さんなんですね。
『踊る大捜査線』も観たけれど、この監督さんも『ポセイドン』のウォルフガング・ペーターゼン監督同様、映画作りを休んで自らを豊かにすることに努めた方がいい。いいものに触れ、いい人間に触れ、自分の心を揺り動かす。
“虚構の世界を作り込む”前に、まず自らを作り込むべきだ。


…とは言え、後半の盛り下がりが嘘のように前半は楽しく、観客を惹き付けるパワーがある。
俳優陣は豪華でその演技も魅力的。興味があるなら一見してもいいかな。
個人的に金庫のストーリーが好きですwまさにBL状態\(^O^)/ハイスペックガッツワロタwww